釣りダネ

釣りの特ダネ「釣りダネ」を紹介します。

【研究紹介】シーバスのベイト(エサ)は何なのか!?

こんにちは釣りダネです。

 

今回はシーバスの生態、特に食性(エサ)に関する研究報告に関する論文をご紹介します。

 

播磨灘におけるスズキ Lateolabrax japonicus の食性」

http://www.hyogo-suigi.jp/suisan/seika/kenpo/pdf/kenpo32-1.pdf

 

この論文にはシーバスにおけるとても重要な事が書かれているのでシーバスを狙っている方にはとても参考になるのではと思います。(後ほど追記予定)

 

 

 

カタクチイワシ、コノシロ、マイワシイカナゴはシーバスの大好物

この論文では胃の中に入っていたエサでどれがどの位の割合で入っていたかを明らかにしてくれています。

 

1位コノシロ(24.9%)、2位カタクチイワシ(24.2%)、

3位マイワシ(10.2%)、4位イカナゴ(10.1%)

 

の様で、その全てが魚類です。

 

しかし、魚類であればなんでも良いというわけでは無いようです。私たち釣り人にとって最も身近な魚と言えばボラ(特にイナッコなどの幼魚)が居ます。

ボラは川、海など場所を問わずにどこでもいますがこのランキングにはいないどころか確認すらされていない様です。

 

この事からシーバスには魚類の中でも特に上記のコノシロ、カタクチイワシ、マイワシイカナゴは特別重要なエサになっている可能性が高いと思われます。

 

確かに自分の経験からもコノシロを頻繁に食う時期のシーバスはとにかくサイズがデカいし、カタクチイワシを食うシーバスはルアーのサイズなどあまり気にしなくても簡単に釣れるなど良い釣果とリンクしている様に思えます。

 

もしシーバスを狙う場合は特に上の4つの魚の存在に気を付けてポイント選択をしてみると良いかもしれません。

 

ちなみにこの研究で確認された魚は他にマアジ、マルアジ、スジハゼ、アカオビシマハゼ、ヒメハゼ、マハゼ、コモチジャコ、マトウトラギス、ギンポ、イシガレイだそうです。

 

 

サイズが大きいシーバス(40cm~)はバチを徐々に食べなくなる 

 

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シーバスが大きくなるにつれてエサが変化していく。(ここでARTHROPODAは甲殻類、PISCESは魚類、POLYCHETAは多毛類(バチ)だと思われます。)

 

播磨灘におけるスズキ Lateolabrax japonicus の食性」から引用

 

上の図ではシーバスの長さとそのエサの関係性が示されています。

 

20cm~40cmまでのシーバスでは多毛類(バチ)が約30~40%程を占めていますが、40cm~では急激にその割合が急激に減っていき、50cm~ではほぼ 食べなくなっています。

 

その代わりに魚類がほぼすべてを占め、少しだけ甲殻類が居る程度です。

 

さらにこのグラフからは少し分かりにくいですが、サイズが大きくなるごとに食べる魚の大きさも増しています。

 

以上の事から

 

・小さいシーバスは数が多いので数釣りや、とりあえず一匹釣りたい場合はバチを意識したルアーを使うと良い

 

・大きいシーバスを釣りたい場合は魚を意識したルアーが良い

 

・さらに大きいシーバスは大きい魚をエサとする為、大きいルアーが良い

 

可能性があります。

 

上の3つの事について補足すると、魚食性に転換が始まるのは18cm前後からと書かれています。

 

さらにこの傾向は複数の場所で確認されているため、みなさんが釣りをされている場所でも通用する一般的な法則である可能性が高いです。

 

 

年間で安定して食べられているのは魚類

次にシーバスの胃の内容物の内訳を表にしてみました。

 

1つ目の表はエサ毎の個体数、2つめの表はエサ毎の重量を表しています。

 

5月、9月は採集されたシーバスの胃の内容物が、数、重量ともに少なすぎるので参考にならない為、表にはしていません。

 

1993年7月~1994年6月まで採集が行われたようですが、分かりやすい様に1月が表の一番上、12月が表の下に来るようにしています。

 

項目が多すぎて分かりづらいかもしれませんので要約すると、

 

・年間で数、重量ともに安定して食されているのは魚類

 

・次に安定しているのは小エビで数としては多いが、重量はほとんど無い

 

・多毛類(バチ)は釣り人が想像するより食べられていない

 

・シーバスが食べる魚類の大きさが10~1月の間は大きくなる(重量/個体数から計算、コノシロパターンの影響?)

 

などが挙げられます。

 

 

シーバスの胃の内容物の内訳(個体数)

  線形動物 多毛類 端脚類 小エビ

ヤドカリ、

アナジャコ

カニ 魚類 不明 総数

1994年

1月

141 19 909 31 4 3 11 3 980

1994年

2月

40   42 11 4   20 12 230

1994年

3月

3 23 9 19 255 303 145 5 890

1994年

4月

  1 13 42 7 6 28 10 121

1994年

6月

      192     23 2 218

1993年

7月

  37 6 26 5 1360 77 25 1550

1993年

8月

  31   23   12 352 6 425

1993年

10月

      22     82 12 117

1993年

11月

  204   61 15 2 134 7 423

1993年

12月

  1   447 1 18 93 6 566

 

シーバスの胃の内容物の内訳(それぞれエサの重量の割合(%)と総重量(g))

  線形動物 多毛類 端脚類 小エビ ヤドカリ、アナジャコ カニ 魚類 不明 総重量(g)

1994年

1月

  6.3 3.3 3.7 0.9 1.5 83.8 0.5 148.0

1994年

2月

0.2   0.3 2.2 0.4   38.3 58.5 87.6

1994年

3月

0.0 11.2   4.0 67.5 1.0 11.9 3.8 181.5

1994年

4月

0.3     16.6 6.3 1.0 53.1 11.0 26.6

1994年

6月

  52.2   13.0     83.8 1.0 79.8

1993年

7月

  1.0   3.9 5.1 6.0 24.2 8.4 77.6

1993年

8月

      3.1   0.8 95.0 0.2 380.1

1993年

10月

      1.5     96.8 1.7 412.7

1993年

11月

  54.0   0.3 1.1   44.5 0.1 1536.2

1993年

12月

  0.1   4.2 0.5 2.5 92.6 0.1 1073.5

 

その他

おもな研究紹介は以上ですがその他にも

 

・一種類のエサを集中的に捕食する傾向がある

 

と記されていますので、マッチザベイトという考えがシーバスに対しては有効であると言えるようです。

 

みなさんもじっくり読んでみるとだれも気付いていない釣りの法則を見つける事が出来るかもしれないので、お暇なときは読んでみてはいかがでしょうか?

 

それでは!!