釣りダネ

釣りの特ダネ「釣りダネ」を紹介します。

魚はルアーをどう見ているのか?

こんにちは釣りダネです。

私たちは毎日文字や動画などから多くの情報を視覚を使って取得、処理しています。

一方魚はどの程度視覚で情報を処理しているのでしょうか?また、水中に届く光は陸上とどの程度異なるのでしょうか?

今回は魚の視覚や水中の色について紹介します。

 

 

視力

視力検査で使用されるランドルト環

視力検査で使用されるランドルト環

 

魚の視覚は人間ほどでは無いですが情報を得るために使われます。

沿岸に住む魚ですと0.1程度で比較的沖の綺麗な海を泳ぐカツオやマグロなどの大型の魚で0.3~0.6位の様です。(淡水のブラックバスは0.1程度)

ちなみに視力0.1とは5m先にある直径約7.2cmのランドルト環(視力検査でどこに隙間が空いてるか聞かれるアルファベットCみたいなマークの事です)の隙間がどこにあるかを認識できる程度で、視力はかなり悪いと言えるでしょう。

 

 Youtuberの釣りいろはさんの動画にブリが泳がせの餌を目の前まで見に行って見切る場面があります(時間にして6分~10分位)。ブリは視力0.11と言われていますがこの動画を見る限りかなり近づいて見ないと物体を認識できないようですね。

youtu.be

 

視野

魚の視野は眼が前後左右を広く見渡せる位置についている為、両目で物体をとらえられる範囲はたったの30度しかありませんが、片目で捉えられる範囲を合わせると約330度あります。

人間の視野は両目で物体を捉えられる範囲が約120度、片目で捉えられる範囲も合わせると約180度です。

陸上の動物の場合ではライオンなどの肉食動物は人間同様前に目がついていて獲物を正確に捉えられるようになっており、草食動物は肉食動物をいち早く察知するため魚の様に視野が広くなっています。

人間や陸上の動物の場合と比較すると魚は外敵から身を守るため後方まで広く見渡せる分、目的の獲物を捕まえるのは苦手なのかもしれませんね。

 

色覚

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出典:(画像提供:河村正二)

 

魚は脊椎動物の中でも最も豊かな色覚を備えています。

上の表は色覚に関係しているオプシンという物質をどれだけ持っているのか脊椎動物毎に表しています。

上の表で魚類に◎が付いているのは色覚を司るオプシンを2種類以上持っているからで、他の脊椎動物(○は1種類、×は持っていない)と比べて多様な色覚を有していることが分かります。

しかし、ひとつ注意しておきたいのはこの魚類という項目は魚類全てに当てはまるわけではないということです。

魚がどのオプシンを持っているか調査するためにはオプシン遺伝子の種類を確認する事と、実際に確認したオプシン遺伝子からオプシンを再び作り出してどの光を吸収するのかを確認しているそうですので相当の時間を要するでしょうから調査した魚は魚類の中でもごく一部だと思います。(上の表は東京大学大学院新領域創成科学研究科 河村正二さんの研究内容ですが主な研究対象はグッピー、トゲウオ、ゼブラフィッシュ、テトラ、メダカと書かれています。)

自分が釣りの対象とする魚がどのような色覚を持っているのか明らかになるのはまだまだ先の事でしょう。

 

水中に届く光

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   ”アメリカ海洋大気庁(NOAA)から引用”

 

光は周波数によって異なりますが水によって吸収され、急激に減衰します。

水が濁っていたり、有機物が溶け込んでいたり、プランクトンが浮遊していれば更に複雑な光の吸収パターンを形成します。

 

上の図はどの色の光が何mまで到達するのかを表したもので、左が外洋の場合で、右が沿岸(一般的な湖沼もこちらに当てはまる)の場合です。

真水の場合では約280mまで届く青色の光でも、外洋では200m強、沿岸では20m~30mとなっています。

 

私たちが岸から釣りをする場合は右側の図に近い状況でしょうからこの状況でピンクのルアーを使った場合どんな風に見えるのか確認してみましょう。

まず赤色の光は約5mまでしか到達しません。

ですのでピンクのルアーは5mより浅い所で使う場合は少し深くなるにつれて急激にピンクの成分を失っていきます。

5m近辺で完全に薄い青緑色に変わり、更に青色も届かない30mより深い所では深緑色に変わります。

もしかするとブルーピンクのルアーがよく釣れるのはこのような急激な色彩変化があるからかもしれませんね

 

透視度

透視度という言葉をご存知でしょうか?透明度が垂直方向の水の濁りを表すのに対して、透視度は水中での水平方向での濁りを表すのに使われます。

ダイビングをしたことがある方は知っているかもしれませんが、水中では周囲はあまり見えません。宮古島などの綺麗な海でも30m位しか認識できませんし、九州以北の沿岸では約10m位しか見えません。

暗闇の中でも周りを見通せる位光に敏感な魚は除くとして、魚の視力の悪さを考慮すると視覚で遠くからでもルアーを認識してもらうためには魚から半径10m弱の範囲内にルアーを送り届けなければいけないでしょう。

数cm程度の小さいルアーを使う場合はさらにその範囲は小さくなるでしょう。