釣りダネ

釣りの特ダネ「釣りダネ」を紹介します。

魚の回避行動には視覚と側線が密接に関係する。

こんにちは釣りダネです。

突然ですが人間は音がどこから聞こえてくるのかどうやって特定しているのかご存知でしょうか?

例えば片方の耳の近くで音が鳴ったとしましょう。

そうすると、もう片方の耳に音が届くためには音が人間の頭を回り込まなければなりません。

しかし、空気中で人間の聞こえる周波数帯の音というのは波長が長くない(波には波長が長いほど障害物を回り込んで到達する性質があります)ので回り込むことが出来ず反対側の耳で聞こえる音というのは小さく聞こえます。

また、空気中での音速は約340m/Sで音が伝わるまでの時間に右耳と左耳とで若干差があります。

これらの性質によって人間はどちらの方向から音が聞こえてくるのか容易に特定することができます。

 

一方水中ではどうでしょうか?

水中では音速は空気中の約5倍と高速で、両耳にほぼ同時に音が到達します。(船などが汽笛を鳴らすと人間の耳に音が届くより先に魚たちが水中から伝わった音を聞いて一斉に逃げ惑う事があります。)

さらに波長も空気中と比較して約5倍になり、障害物の裏側に容易に到達しますので両耳で音の強弱の差が小さくなります

人間は水中だと音がどこから発生しているのか分かりません。

ダイビングをしていると船がどこから近づいてくるのか分からないので音が小さくなるまで水面に顔を出してはいけないなんて注意されます。

 

一方で魚達は音が伝わってきた方向を特定することが出来、この能力を利用して外敵からの攻撃を回避することが出来ます。その為に重要な器官が釣りをしている人だったら良く聞く側線です。

魚は側線で波動を感じるなんてよく目にしますが、音も側線で感じます。

 

以下では音を側線で感じ取っている事を示す記事を紹介します。(波動に関する記事は今度紹介したいと思います。)

 

jeb.biologists.org

 

こちらの記事では側線を無効化したゴールドフィッシュ、目隠しをしたゴールドフィッシュを用意して水槽の中に放し、大音量のスピーカーをランダムに鳴らしたときの行動を調査しています。

 

以下に要約を記載します。

 

調査では大音量のスピーカーを鳴らすとどちらの魚も回避行動をとったようです。音が魚の回避行動の引き金になっていると記してあります。

ちなみに魚には内耳という器官があり、この器官を使用して音を感知することが出来ます。この器官は浮き袋を使用して音を感知しているのですが、浮き袋は人間の耳の様に二つ無いので音を感知することができるだけで方向はわからない様です。

 

さらに調査では大音量のスピーカーを鳴らすと側線を無効化した魚はランダムな方向に逃げ、目隠しをされた魚は音と反対の方向に逃げたと記してあります。

 

このことから側線が音の位置を特定するために重要な器官であることが分かります。(実験者は次に体の側線を無効化してみたようですが、それでも魚たちは音の発生源と反対に逃げる事が出来たと記しています。側線は実は頭部にもあり、頭部の側線だけでも音の位置を特定できるのです。)

 

上記の結果から魚は側線という素晴らしい器官を持っているということが分かりました。しかし、側線ですべてを判断して他の器官を使わないのかというとそうではありません。視覚も回避行動において重要な役割を担っています。

 

障害物などの近くに位置している場合、魚たちは反射行動を無効化して障害物を避けるよう行動します。これが出来なかったのは側線、視覚のどちらも無効化した魚のみで視覚からの情報も魚が行動するうえで重要な判断材料になっている事が分かります。

 

 側線や視覚から得られた情報はマウスナー細胞によって処理され、どちらの方向に逃げるべきか判断されます。

マウスナー細胞は側線が刺激を得て3-4ミリ秒以内に体内に情報を伝達するために必要な活動電位を発生するようです。

 

終わりに

魚が視覚と側線を統括的に利用して回避行動を行う事を理解していただけましたでしょうか?

この様な情報処理はマウスナー細胞ほど高速には処理できないかもしれないかもしれませんが捕食の際にも行われているのかもしれませんね。

調べている間に疑問に思ったことは音が回避行動の引き金になっているのなら何故ポッパーなんかには寄ってくるのでしょう?

メーカーには餌に感じる音と敵に感じる音の違いの秘密を解き明かしてもらって更に釣れるルアーを開発してもらいたいところです。

みなさんも音の違いが魚に与える影響を考えながらアクションして自分なりの釣れる音を導き出してみてください。

それでは。